【ガムベイ奈落技術討究派】
(ウルシラ地方)- 入門条件
- 50名誉点
注意:この流派を採用する場合、アビススキル(⇒BG114、AB34)の導入が必須です。
スフバール聖鉄鎖公国は、“奈落”および魔神との戦いの最前線に位置し、魔神と戦うための技法の研究に余念がありません。そこには「毒を以て毒を制す」の思想があり、“奈落”や魔神の力を利用することに禁忌がありません。
“奈落を知る”ハムザライは、そうしたスフバールの中でも、さらに突出した思想を持った軍事の研究者であり、技術者でした。彼は魔神の力で魔神を討つことを痛快なしっぺ返しと感じ、そこに喜びを見いだしていました。そんな自分を正当化するために、彼は【奈落技術討究派】を立ち上げ、積極的に奈落の力を取り込み、使うべしと説き始めました。魔神を討つに手段は選べずと声を張り上げ、賛同者を募りました。これに共感し、後援したのが貴族ガムベイです。資金と権力へのコネクションを得た【奈落技術討究派】は、公国内での立場を強固にし、熱狂的な支持を集めました。
そしてハムザライは聖鉄鎖公国の上級技官としての地位を得ます。自身の思想を実践するために、彼は「アビス強化」を推進し、さらにはその効力を高める、彼自身が研究から編み出した技法を兵員たちに教えました。
ちょうどその頃に起こった防衛戦で、技法を使った兵たちがめざましい戦功を挙げたことで【奈落技術討究派】の人気は最高潮に達しました。しかし公国軍部の他の研究者や技術者は、ハムザライの手法に危惧を抱いていました。“奈落”との繋がりを深める危険を軽く見過ぎていると彼らは感じたのです。ハムザライの技法に何ら新しいものはなく、誰もがあえてやらなかった「安全のマージンを削り取って功利を得る」手法だと彼らは訴え、自重を求めました。ですが、熱に浮かされたような支持者たちは、警句を臆病となじり、むしろ【奈落技術討究派】への支持をさらに強めました。
こうして時代の寵児となったハムザライですが、凋落は一瞬でした。増長した彼は、自分の息の掛かった小隊をザムサスカ地方に遠征させることを宣言しました。軍内部からは猛反対があったのですが、自分の実績を過信していたハムザライは「我が教えを知る精鋭たちは速やかに魔神を排除し、帰還できるから問題ない」と強行してしまいます。結果は、隊員のほとんどが失われ、数人のみの帰還でした。そしてその数人はすべて魔神に心を呑まれた者――つまり、帰還者ではなく襲撃者――だったのです。
ハムザライは失脚し、【奈落技術討究派】も公国正規軍に居場所はなくなりました。しかし、かつての戦功の記憶は強く、すべての責を追放されたハムザライに被せ、ガムベイが新たな指導者として名乗り、組織の新生をアピールすることで辛うじて長らえることに成功しました。少数の後継者が技法を受け継ぎ、研究を続けています。十分に己を制御できる者になら、力を与えられると彼らは主張しています。
流派装備
【ガムベイ奈落技術討究派】には、それ独自の流派アイテムは存在していません。一般的な「アビス強化」を前提として技法が成立しています。
秘伝
《デモニック・エンパシー》
- 必要名誉点
- 20
- タイプ
- 常時型
- 前提
- なし
- 限定条件
- なし
- 使用
- ―
- 適用
- ―
- リスク
- ―
- 概要
- 魔神に対して真偽判定、先制判定、不意打ちに対する危険感知判定を行うときに、魔神側の達成値を「汚染度」分低く見積もる
- 効果
この秘伝の習得者は、魔神の存在可能性に敏感になります。
その結果として、魔神に対しての真偽判定、魔神との戦闘時の先制判定、不意打ちの能力を持つ魔神に対して行う危険感知判定において、魔神側の達成値を自身の「アビス汚染度」分、低く見積もることができます。
この効果は、自身へのボーナス修正ではないことに注意してください。たとえば真偽判定では自身の達成値がプラスされるという処理は起こりませんので、ボーナスの存在から相手を魔神と知ることはできません(GMの側で秘匿して処理します)。戦闘において敵側に魔神とそれ以外が混在している場合、魔神のみその先制値が、秘伝習得者に対してのみ2低いものとみなして処理されます。
GMはこれらの判定以外でも、「魔神の存在感を先んじて感知できれば対抗可能」なものと判断するなら(たとえば、魔神の登場する冒険シナリオで行われるいくつかの異常感知判定が該当するかもしれません)、この処理を適用してかまいません。
《サブミット・トゥ・ダブルリスク》
- 必要名誉点
- 30
- タイプ
- 常時型
- 前提
- なし
- 限定条件
- アビススキル武具
- 使用
- —
- 適用
- —
- リスク
- ―
- 概要
- アビススキルの使用可能頻度を2倍、アビス侵蝕時に「汚染度」+1
- 効果
この秘伝の習得者は、時間ごとに定められているアビススキル(⇒BG114、AB34)の使用を、その時間内に追加でもう1回使用することができます。《高機動形態》は、1ラウンドに2回とはならず、代わりに毎ラウンド1回ずつの使用が可能になります。
ただし、追加で行ったアビススキルの使用(《高機動形態》では連続使用したラウンドの偶数目ラウンドでの使用)においてアビス侵蝕が発生した場合、「アビス侵蝕表」での効果に加え、「アビス汚染度」が自動的に1点、追加で蓄積されてしまいます。
《コンタミネイテッド・エンパワーメント》
- 必要名誉点
- 50
- タイプ
- 主動作型
- 前提
- なし
- 限定条件
- アビス強化武具、「アビス汚染度」1以上
- 使用
- ―
- 適用
- —
- リスク
- —
- 概要
- 1分間、行動判定に「汚染度」をプラス、効果終了後「汚染度」+1
- 効果
この秘伝は自身の「アビス汚染度」が1点以上蓄積されていなければ使用することができません。
秘伝を使用した場合、使用者は続く1分(6ラウンド)の間、あらゆる行動判定に自身の「アビス汚染度」をボーナス修正として加えることができます。この効果は累積しません。
この効果を得るには、何らかのアビス強化(⇒2-275、BG108、AB28)を得た武具――アビススキル(⇒BG114、AB34)やアピストリガー(⇒BG117)を含む――を装備していなければなりません。
効果時間終了後、秘伝使用者には自動的に「アビス汚染度」が1点蓄積します。