エムパミャチ
- 知能
- 人間並み
- 知覚
- 魔法
- 反応
- 敵対的
- 言語
- なし
- 生息地
- 洞窟、森林
- 知名度/弱点値
- 15/18
- 弱点
- 回復効果ダメージ+3点
- 先制値
- 13
- 移動速度
- 14/―
- 生命抵抗力
- 10 (17)
- 精神抵抗力
- 10 (17)
攻撃方法(部位) | 命中力 | 打撃点 | 回避力 | 防護点 | HP | MP |
---|---|---|---|---|---|---|
杖 | 9 (16) | 2d+6 | 9 (16) | 5 | 59 | 67 |
特殊能力
[常]精神効果、毒、病気、呪い無効
[常]通常武器無効
[主]操霊魔法7レベル/魔力9(16)
[常][宣]魔法適性
戦闘特技《魔法拡大/数》《ターゲッティング》《魔法収束》《魔法制御》を習得しています。
[補]急速記憶奪取/9(16)/精神抵抗力/消滅
対象に自身の眼窩をのぞき込ませ、一時的に記憶を奪います。
「射程:接触」で「対象:1体」に効果を与えます。対象は、3分(18ラウンド)の間、自身が習得している技能のうち、レベルがもっとも高いもの(複数ある場合は無作為に選んだ1つ)が、1レベル低いものとして扱われます。結果として、その技能を用いて行う行為判定の基準値は1減少します。また、魔力や武器攻撃で与える追加ダメージも減少します。行使できる魔法のレベル(ランク)も減少の影響を受けますし、その他系技能で獲得している練技や呪歌・終律、賦術、騎芸なども直近で獲得したものが使えなくなります。
この効果では冒険者レベルやHP、MPの最大値、習得している戦闘特技に変化はありません。一部の戦闘特技などは習得する際にレベルが設けられていますが、使用に制限がなければ使用可能です。魔物データのキャラクターが効果を受けた場合は、GMが判断します。「命中力、回避力、打撃点をすべて1減少させる」か「任意の特殊能力(GM判断により1つないし複数)の基準値や設定されている魔法などのレベルを1下げる」かしてください。
この効果は呪い+精神効果属性で、累積しません。また、同一の対象に対しては1手番に1回までしか使用できず、使用するとMPを5点消費します。
[主]記憶の濁流/10(17)/精神抵抗力/消滅
既に他者から奪っていた記憶を、個人が許容できる範囲を超えて植え付け、強い負荷を与えます。
「射程/形状:1(10m)/起点指定」で「対象:1体」を他者の記憶で混乱させ、HPとMPの両方に「2d+2」点の魔法ダメージを与えます。また、この能力に対する精神抵抗力判定の達成値が「14」以下で判定に失敗する結果となった場合、10秒(1ラウンド)の間、移動とすべての動作を行えなくなります。
この効果は呪い+精神効果属性として扱います。
[常]凝視の杖/9(16)/精神抵抗力/消滅
対象の視線を固定し、この杖の所持者を見なければならないように仕向けます。
近接攻撃や魔法の行使など、この魔物を対象に何らかの動作を行った対象は、そうした次の手番開始時に精神抵抗力判定を行います。失敗した場合、新たな手番ではいずれの動作を行う場合でも、必ずこの魔物を対象に含めなければいけません。この魔物を対象に含めることができない場合、その動作は行えません。
この効果は手番開始時ごとに抵抗を試みることが可能です。一度でも抵抗に成功すれば、以降は効果を受けません。
[常]記憶奪取/必中
この魔物の姿を見ている状態で1時間以上が経過すると、この魔物の姿を見始めたときから直近の過去1時間ぶんの記憶を失います。この能力は累積し、1時間ごとに失う記憶の時間が延びていきます(この魔物の姿を5時間見ていると、この魔物に出会うまでの5時間の記憶を失う)。
この能力の影響下にいる間、この魔物を見ているキャラクターは食事は必要なく、休息している状態として扱いますが、自身の意思で能動的な動作や発言などを行うことはできません。
1時間未満であれば、自らの意思で離れることが可能です。
戦利品
- 自動
- 凝視の杖(12,000G/―)
- 2~6
- なし
- 7~11
- 思い出の品(1,000G/白S)
- 12~
- 魔力を帯びた品(2,000G/金白S)
解説
BM162
エムパミャチは、全身を覆うボロボロの外套を纏ったアンデッドです。外套の中は、枯れ枝のように痩せ細った老人の姿をしており、そのフードの下の顔を垣間見た者は、老木の虚のようにぽっかりと空いたふたつの眼窩だけが記憶に残っていると口々に話します。
エムパミャチは、辛い記憶や悲しい記憶を持ち、それを忘れたいと嘆いている者のもとに現れ、その記憶を少しずつ奪っていきます。しかし、エムパミャチが奪うのは辛く悲しい記憶だけではありません。その犠牲者が生きてきたすべての記憶を奪ってしまうのです。このため、エムパミャチに記憶を奪われた者は、廃人のようになってしまいます。
このようにして奪われた記憶は、エムパミャチを倒すともとに戻ります。
外見的特徵
エムパミャチは、ボロボロに破れたフード付きの外套を纏った、枯れ枝のように痩せ細った老人の姿をしています。いつもフードの下に隠されている顔には、老木の虚を思わせるふたつの眼窩がぽっかりと空いており、ヒビ割れや裂け目のような口があり、その外見は見た者が恐怖におののくほど不気味なものです。
外套の色は、黒または灰色ですが、ごく稀に白い外套を纏ったエムパミャチもいるといわれています。しかし、外套の色の違いにどういう意味があるのかはわかっていません。
エムパミャチは、霊体です。外套も霊体の一部であるため、エムパミャチが倒されると消えてしまいます。外套の色がその個体の性質を表していると考える者もいるようです。
生態/生息域
エムパミャチは、通常は単独で出現します。複数で出現した例が皆無というわけではありませんが、極めて稀です。
また、たくさんの人が住んでいる都市や大きな集落、あるいはその近辺に潜んでいるといわれています。
しかし、エムパミャチが目撃されるのは、犠牲者と一緒にいる時だけで、時間帯は夜間であることがほとんどです。さらに、住み処らしい場所で目撃されたという記録や言い伝えはありません。このため、普段は透明化したり、影の中に潜んだりして姿が見えない状態になっており、建物の間の暗がりや地下などの陽光の届かない場所にいて、辛い記憶や悲しい記憶を忘れたいと願う者を探しているのではないかと考えられています。そして、記憶を忘れたいと嘆く者を見つけると、取り憑いて、犠牲者が眠っている間にその記憶を少しずつ奪っていくというのです。
その証拠のひとつとして、エムパミャチの犠牲者の背後にはぼんやりとした人影が見えることがあります。とりわけ、日中に日陰や屋内に入った時に見えることが多いと言われています。また、犠牲者は、少しずつ、まるで枯れ葉が散っていくように記憶を失っていきます。
これらの特徴的な出来事と、エムパミャチの犠牲者の類似性――大きな悲劇に見舞われ、忘れたいほどの辛い記憶や悲しい記憶を持っている――を考え合わせると、エムパミャチに取り憑かれた者を特定することは、それほど難しくはないかもしれません。
いずれにしても、エムパミャチに奪われた記憶は、その記憶を奪ったエムパミャチが倒されるとともに、もとの持ち主に戻ります。もとの持ち主が死んでいた場合は、持ち主がその記憶を伝えたいと願った者や特に親しかった者、エムパミャチを倒した時に近くにいた者などに伝えられるとされています。そのため、エムパミャチを倒そうとする者は、エムパミャチが蓄えている辛く悲しい記憶の数々と向き合う覚悟を持たなくてはなりません。
戦い方/危険度
エムパミャチは、記憶を奪うことで敵対者を弱体化させていきます。たとえば、エムパミャチと戦った者の中には、経験によって会得した戦い方――戦闘特技や魔法、練技、騎芸などを、一時的に忘れてしまったという者がいます。
また、エムパミャチは、霊体であり、通常の武器ではダメージを受けません。このため、なんの準備もなく、エムパミャチと遭遇してしまった場合は、為す術もなく記憶を奪われ、廃人にされてしまう危険性があります。
ただし、エムパミャチは、攻撃を受けない限りは、辛い記憶や悲しい記憶を忘れたいと願っていない者から記憶を奪うことはないといわれています。
過去の事件
エムパミャチは、大きな戦いがあった後に目撃例が増加します。これは、戦いがいかに多くの悲劇を生み出しているかということの証左といえるでしょう。
とりわけ、魔神との戦いの最前線であるコルガナ地方やウルシラ地方での出現頻度は、ほかの地方よりも高いようです。
たとえば、前回、コルガナ地方西部で〈奈落の大侵蝕〉が発生した時には、クルツホルムやオクスシルダなどの各都市でエムパミャチに取り憑かれる者が続出しました。おびただしい数の魔神が“奈落”から押し寄せたことで、たくさんの人々が死の恐怖にさらされ、家族や仲間などの愛する人々を失って、ついさっきまでそこに存在していた平穏な日常を奪い去られてしまったからです。彼らは、その絶望から辛く悲しい記憶を忘れることを願い、エムパミャチを呼び寄せてしまったのでしょう。魔神襲撃後の混乱の中でのことで、信憑性に疑問はありますが、この時は10体あまりのエムパミャチが同時に目撃されたともいわれています。