ランページウルフ
- 知能
- 動物並み
- 知覚
- 五感(暗視)
- 反応
- 腹具合による
- 言語
- なし
- 生息地
- 森林、山岳
- 知名度/弱点値
- 10/13
- 弱点
- 物理ダメージ+2点
- 先制値
- 11
- 移動速度
- 20(四足)/―
- 生命抵抗力
- 6 (13)
- 精神抵抗力
- 5 (12)
攻撃方法(部位) | 命中力 | 打撃点 | 回避力 | 防護点 | HP | MP |
---|---|---|---|---|---|---|
牙 | 6 (13) | 2d+4 | 5 (12) | 3 | 26 | 5 |
特殊能力
[常]群れの統率
自身と同じ乱戦エリアにいる、すべてのウルフの命中力判定と回避力判定に+1のボーナス修正を与えます。この効果は、バックリーダー(⇒『I』452頁、『ML』102頁)などの同名の特殊能力と重複しません。
[宣]壁蹴り
壁や崖、森の樹などを足場にして跳躍し、相手を翻弄しながら複数の対象を攻撃します。
任意の対象3体までに近接攻撃を行います。
この能力を宣言した場合、命中力判定に-2のペナルティ修正を受けます。
この能力は屋内、もしくは森林などの障害物がある場所でしか効果がありません。また、その際は戦闘開始時に周知する必要があります。
[主]ハウリングロア/5(12)/生命抵抗力/消滅
敵を威圧し、仲間を鼓舞する雄叫びを上げます。
「射程:自身」で「対象:1エリア(半径6m)/すべて」に効果を与え、その回避力判定に-1のペナルティ修正を与えます。ただし、対象がウルフ(⇒『I』450頁、『ML』100頁)の場合には、「抵抗必中」となり、効果も「打撃点を+2点する」に変更されます。
いずれの場合でも、この効果は精神効果属性(弱)であり、10秒(1ラウンド)の間持続します。
この能力は連続した手番には使えません。
戦利品
- 自動
- 白き狼の尾(300G/金赤A)
- 2~6
- なし
- 7~11
- 白き狼の皮(200G/金赤A)
- 12~
- つややかな白き狼の皮(650G/金赤A)
解説
BM158
深い森や山岳などで、稀に見られるウルフの変異種です。
特徴的な白い毛並みを持ち、その体格は大柄で、一目で他の狼との違いに気づくでしょう。当然ながらその身体能力は一般的なウルフをはるかに凌駕し、単体でも駆け出しの冒険者パーティ相手に互角の戦闘力を有します。
しかしその真の恐ろしさは、優れた知能と群れを統率する能力、それに環境に適応した特別な戦闘法です。
ランページウルフが率いる狼の群れは、それだけで戦闘力が高まり、そのひと吠えで牙の威力は大幅に上昇します。また、知能の高さから人間の考えを見抜き、罠や毒餌を回避して、家畜を効率的に襲うことにも長けています。
大きな群れともなれば、農場や牧場ひとつを平らげてしまうこともあります。神出鬼没なランページウルフ率いるウルフの群れは、冒険者にとっても油断しがたい相手となるでしょう。
外見的特徵
大柄なランページウルフの体長は、2mにも及ぶことがあります。それだけの体躯でありながら敏捷性では一般的なウルフを大きく上回り、壁や樹木を蹴って立体的な攻撃を繰り出すほどです。
その毛皮は白く、特に雪山では優れた保護色となります。また、霧が立ちこめる森の中でもその姿を視認するのは難しく、不意に襲われることもあるでしょう。
希少な存在ゆえ、その毛皮などは高額で売買されています。
生態/生息域
ランページウルフは、主に寒い地方の森林や、冠雪するような山岳部に生息しています。
普段は5~10頭程度のウルフやその仲間を率い、集団で大型の草食獣を狩り、暮らしています。しかし獲物が少なくなればその活動域を広げ、人族や蛮族であっても狩りの対象とすることで知られています。
上記のように、ランページウルフに率いられた狼たちは、人族や蛮族を恐れません。そのため、人里近くに現れたその群れは、大変な脅威となります。しかもランページウルフの知能は人間にも匹敵するほどに優れており、偵察や陽動、不意打ちや時間差攻撃などを使いこなした例も記録されています。
ランページウルフはウルフの変異種であり、普通のウルフから生まれてきます。その能力の高さは生まれながらにして顕著であり、成長するに伴い、群れのリーダーとなります。稀なことではありますが、ランページウルフ同士でつがいとなることもあり、こうした群れはさらなる規模の数のウルフを従え、より巧みな作戦を練って獲物を襲います。
もっとも、ランページウルフ同士で子を成したとしても、ランページウルフが生まれるとは限らず、多くは普通のウルフが生まれることとなります。また、ランページウルフはつがいとなった相手と生涯連れ添うことでも知られ、相方を殺されれば、明らかに復讐心を持って襲撃してくることでも知られています。
主に寒冷地に棲むランページウルフですが、温暖な環境にも適応する能力があり、獲物を求めて暖かい地方に移ってくることもあります。ランページウルフのことをよく知らない地方の者にとって、その狡猾さに翻弄され、大きな被害を出すこともあるようです。
戦い方/危険度
ランページウルフの戦い方は、基本的に群れで獲物を取り囲み、数の暴力で一気に仕留めるというものです。
その際、ランページウルフ自身も戦いの先頭に立ち、仲間たちを鼓舞します。相手の数が多く、しかも格下だと判断すると、「[宣]壁蹴り」を多用して次々とその数を減らそうとします。逆に、相手が強敵だと判断すると、「[主]ハウリングロア」を使って怯ませ、回避力を下げたところで仲間たちに攻撃させます。
ランページウルフの「[宣]壁蹴り」は、森の中で発達した能力と考えられますが、恐るべきことに村落や辺境の町を襲う際にも発揮されます。群れの規模が大きくなったランページウルフは村落や町を襲うことがあり、森の木々同様、民家の壁や街路樹なども器用に使ってみせるのです。
ランページウルフ率いる群れと戦う際は、リーダーであるランページウルフを倒すことで、他のウルフたちの戦意を失わせることができるはずです。
過去の事件
〈大破局〉から200年ほどが経過した頃。北部のコルガナ地方から、100頭を超えるウルフの群れが、ドーデン地方北部に雪崩れ込んできた事件がありました。
その際は、恐るべきことに5頭のランページウルフが群れを率いており、その中の1頭が強力なリーダーとなって、全体を統率していました。
ランページウルフの脅威をあまり知らなかったドーデン地方北部の村落は瞬く間に蹂躙され、群れはさらに大きくなり、城塞都市でさえ襲われるようになりました。領主やその兵士たちは対策に乗り出し、毒餌を撒いたり罠を仕掛けたりしましたが、それらにはまるでかからず、むしろあざ笑うように隠された罠を暴いて去って行く始末だったといいます。
討伐に出た兵士たちも狼たちの群れに翻弄されました。野営中や行軍の疲労で動きが鈍ったところなどを襲撃され、大きな被害を出すこととなったのです。
こうして冒険者ギルドに討伐依頼が出され、兵士たちは手を引きました。しかし「所詮ウルフ」と侮った冒険者の多くが逆襲に遭い、こちらも被害が続出します。
やがて、腕利きの冒険者が乗り出すことになります。しかしランページウルフたちは数の優位性を認識しており、少数の強力な冒険者相手には積極的に戦おうとはせず、陽動を行って誘い出し、その隙に村落や町への襲撃を繰り返しました。
その後、冒険者とランページウルフの知恵を絞った化かし合いが始まり、ついにリーダー格のつがいであるメスのランページウルフを捕らえることに成功。冒険者たちはこれを囮としてリーダーを誘い出し、直接対決で倒したのです。
その後、群れは明らかに統率を欠くようになり、そう時を必要とせず壊滅しました。最終的に捕らえられたメスのランページウルフも殺されましたが、その際の怨嗟の声は関係者の精神に深い傷を与えたとされています。